歯周病予防のキャットフード

最近、うちの猫ちゃんはしょっちゅう口をクチャクチャしているなぁ・・・や、なんだか口の中が臭いなぁ・・・・ということは、ありませんか?もし、思い当たる節があれば、既に、あなたの大事な愛猫ちゃんが歯周病になっている可能性があります。今回は、歯周病予防のためのフードについてお教えしたいと思います。

そもそも歯垢・歯石とは?

歯垢・歯石の形成は、唾液中に存在している、糖とタンパク質により、歯の表面にペリクルという薄い膜ができることから始まります。ペリクルはブラッシングを行ってもなかなか取れず、ぬめりとなります。そこに様々な細菌が付着し、繁殖すると、いわゆるバイオフィルムという細菌の固まりが形成されます。そして、これが歯垢となって歯に付着しますが、歯垢は軟らかいので歯ブラシによるブラッシングなどで比較的簡単に除去することができます。一方で歯石は、歯垢に唾液中のミネラルが沈着することによって形成されます。歯石そのものは歯周病の原因とはなりませんが歯石の表面はざらざらして凹凸があり、歯垢が付着しやすくなり、それによって歯周病が引き起こされます。
また、歯石は歯垢と違ってブラッシングで簡単に落とすことはできません。人間の場合なら、歯医者さんで麻酔無しにクリーニングしてもらうことができますが、猫の場合は全身麻酔をかけずに行うことはできません。全身麻酔は、そう頻繁にかけることができないため、歯石になる前の歯垢の状態で、除去することが非常に重要となってきます。

よく聞くけど、歯周病と虫歯は何が違う?

歯肉炎と歯周炎をあわせて歯周病と呼びます。歯肉炎とは、歯肉のみに炎症が起こっている状態をいい、歯の表面や歯周組織に歯垢が沈着し、その歯垢に含まれる細菌などによって引き起こされます。歯肉のみに腫れや出血が見られますが、治療によりほぼ治すことが可能です。しかし、放置しておくと歯周炎に進行していく場合がありますので注意が必要です。歯周炎になってしまうと、歯根膜や歯槽骨などの歯を支えている支持組織が破壊されてしまうだけではなく、その細菌が血流に乗って全身に運ばれてしまい、細菌性心内膜炎などを引き起こしてしまうことがあります。
一方で猫は虫歯にはならないといわれています。今まで、虫歯になった猫は発見されていません。理由としては、猫の歯は人間と違ってハサミのような役割をしていることや猫の舌は甘味を感じず、甘いものを食べないからなど、いろいろと挙げることはできますが、一番は猫の口の中には虫歯の原因菌が存在しないからからだと考えられています。虫歯の原因菌は主にミュータンス菌だといわれていますが、研究の結果、猫の口腔内にはミュータンス菌がいなかったという報告がされています。

歯周病の症状とは?

上記で述べたように、歯周病は細菌によって引き起こされる炎症疾患です。よって症状としては痛みや口臭を挙げることができます。口の中が痛いと、ご飯を食べなくなったり、しょっちゅう口をクチャクチャする傾向にあります。また、歯周病の発症には細菌だけではなく、栄養不良やストレス、免疫力低下も影響してくるため痛みでご飯を食べられない→栄養不良、ストレス→歯周病悪化という負のスパイラルに陥ってしまう可能性も高くなります。
 治療としては、抗生物質や抜歯などを挙げることできますが、なかなか完治させることは難しく、獣医師泣かせの疾患の一つでもあります。

歯周病についてご理解いただけたでしょうか?では、歯周病を防ぐために歯垢・歯石をつきにくくするキャットフードについてお教えしたいと思います。

食べ方に注意

歯周病は、食べ方に関係しています。よく噛むことで唾液の分泌が促進され、唾液によって口腔内の汚れが落とされるので、その結果、歯周病の予防になります。従って噛まずに飲み込むような食べ方は唾液があまり出ないだけではなく、歯垢などが食物により研磨されずに残ってしまいます。よってよく噛む食べ方が推奨されます。猫は多頭で育てられるオーナーさんが、よくいますが猫同士で競争するようにガツガツ食べさせるのは消化に悪いだけではなく、歯にも悪いので、食事の時はお皿や場所を分けて、ゆっくり落ち着いて猫が食べることのできる環境を整えてあげましょう。

歯のためにはウェットよりドライ

軟らかい食べ物は、歯の表面に付きやすいため、硬いものの方がより歯の表面に付きにくく、かつ歯垢などの研磨作用が期待できます。また形が大きくて噛み切りにくいものの方が噛む回数が増えます。よってドライフードの方がウェットフードに比べて歯垢が付きにくいといわれています。さらに適切なフードだけではなく、適切なおやつ、適切なおもちゃなどで噛む回数が増えれば歯垢・歯石の付着は噛ませていない場合に比べて減少します。適切なおやつやおもちゃなどは、ショップの店員さんに相談して一緒に選ぶことをお薦めします。なぜなら、不適切なものを選んでしまうと誤飲や歯折などの原因になってしまうからです。

サプリやケア用品も使ってみる

歯周病予防には歯磨きによるブラッシングが一番ですが、なかなか素直にさせてくれる猫も少ないかと思います。もし、子猫の時から一緒に暮らしているならば少しずつ慣らしていけば、やらせてくれるのですが、そうでない場合は、難しいときがあります。そんな時はサプリやケア用品に頼ってみましょう。最近は口腔内にも善玉菌と悪玉菌がいることが判明してきており、効率よく善玉菌を摂取することのできるサプリメントや、自然由来の成分を使用した飲み水に混ぜるだけでケアができるクリーナーも発売されてきています。歯磨きができないからといって諦めるのではなく、時にはこのようなグッズも利用してみてください。

ご理解いただけたでしょうか?少しでも猫ちゃんの状態がおかしいときには早めに動物病院に行ってあげてくださいね!!